[東京 18日 ロイター] 日銀の金融政策決定会合で現行の政策維持を賛成多数で決定、利上げが見送られたことが株高の追い風となった。反対が3人と予想外に多かったことで、2月利上げが濃厚との見方が広がったものの、株式市場では好調な企業業績に大きな影響はないとみられているほか、利上げ確定まで円キャリーによる資金流入が短期的に見込めることなどから、上昇期待を膨らませている。
一方、長期金利が上昇したほか、今回の利上げ見送りは日銀に対する信頼感を揺るがし、長期的に円安圧力がかかるとの指摘もあった。
利上げ見送りそのものについては、決定会合の直前までに市場のコンセンサスとなっていたものの、反対票が3票入ったことにサプライズ感が生じたという。市場では「据え置きは予想通りであるが票決が6対3であるのは予想外だった。2月に利上げが行われる可能性が高まった」(カリヨン証券・チーフエコノミストの加藤進氏)といった声が多く債券市場は下落した。
実際、福井総裁は会見で2月以降の利上げに含みを持たす発言をし、市場では「(日銀が)先々の追加利上げに対する意欲はそれなりに続いている印象を受ける」(メリルリンチ日本証券・チーフ債券ストラテジストの熊谷亮丸氏)と受け止められている。
株式市場は瞬間的に材料出尽くしムードから売られたものの、すかさず切り返す展開。
年初からの波乱局面において株式市場では利上げを織り込んでいたとの見方が支配的になっていたが、利上げが見送られたことで今後も流動性相場が続く可能性が高いとみる関係者が多い。
みずほインベスターズ証券・調査部部長の一尾仁司氏は「国内の景気がフラットでも、
企業が海外で収益を伸ばしているため業績見通しが明るい。そうした中で金利がフラットとなれば、株式市場に資金が流入しやすくなり、ブル相場が読める状況になった」と述べる。
2月利上げに市場参加者の見方が傾いていることについても「25ベーシス程度の利上げなら、企業業績に対して悪影響を及ぼさないというのが既にコンセンサスとなっており、2月に利上げがあっても株価の上昇トレンドは変化しない」(欧州系証券トレーダー)との声があった。
さらに、株式市場では当面、好需給が期待できるようになったという。2月以降は不透明ながら「少なくとも利上げが確定するまでは、株式の環境が良いため円キャリー資金が流入する可能性もある。そういう意味で、需給面を考えると利上げ見送りは株価にポジティブな材料だ」(ピクテ投信投資顧問・ヘッドトレーダーの小野塚二也氏)との見方が出ている。
円キャリーについては、新興国株式や原油など日本株にとって「ライバル」となる運用先があるが、原油についてはマーケットセンチメントが悪化しているため「寒波到来でも本格反騰する様子ではなく、順張りの資金を誘い込みにくい。価格が高騰している時なら、円キャリーのマネーは原油にきた可能性もあるが、現状では低調な商品ではなく株式に向かいそうだ」(外資系運用会社コモディティ担当者)という。
<日銀への信認低下、外国人投資家からみた円建て資産の魅力が薄らぐ>
一方で、今回の利上げ見送りに至るまでの過程を踏まえ、日銀に対する信認が低下したとみる関係者が多い。見送りを好材料として受け止めた株式市場でも「利上げを織り込みながら、実際には行わなかったことで、今後は日銀に対して不信感を抱くようになった。これまで以上にイベントごとに市場が模様眺めとなる意味で明らかにマイナス。また、割高ではない日本株がそれで売られる心配はないが、円安を懸念させる要因となる」(エース証券・専務の子幡健二氏)との指摘もある。
為替市場では、ドル/円が121円台に上昇、2005年12月12日以来、約3年10カ月ぶりのドル高/円安水準をつけたが、利上げ見送りを材料としただけではなく、日銀に対する不信感も円売りに材料になったという。
UBS証券・チーフエコノミストの大守隆氏は「今回の決定については、週末に利上げがあるとの報道が大々的にあった後、一転して利上げ見送りの報道が相次いで、日銀の政策が非常にわかりにくい印象を与えた」としたうえで「この影響は、長期的に日本市場への魅力、外国人投資家からみた円建て資産の魅力が薄らぐという形で出てくるのではないか。長期的に円安への圧力がかかるということだ」と指摘している。
